「ハンバーグに決まってるだろうが!」
「カロリーが高い、今夜はサンマの開きだ」
「昨日はアジの開きだったじゃねぇか!」
資料や機材の散らかる四畳部屋の中心に、大き目のちゃぶ台。
ちゃぶ台を囲むは、ルシファ、キケン、オーランジ……その他多数である。
「ワレァルシファと同意見じゃな、魚の肉なんて食い飽きるわ!」
「でも、お肉だけもどうかと思うよ?」
「此処は平等に、ラーメンでどうアルか?」
「いや、遠慮しておく」
ちゃぶ台の上には人数分のコップと箸が並べられている。
アクセルだけは、キッチンで作業をしている所らしい。
「「魚の開きは反対!」」
「僕は野菜炒めが……」
「「ソイツも反対!!」」
「はい……」
「わがまま言うな、給料日前は食費を抑えないといけないんだ」
「そんなに抑えたいならキケン一人でカロリーメイト食ってろ!」
「ワレェは肉食じゃけぇ!」
「じゃ、ラーメンっていうのはどうアルか?」
「……俺も、流石に三日連続魚の開きは飽きるかも……」
「オーランジまで何を言っている……」
「ていうか、無視アルか? 無視アルネ」
ちゃぶ台の上の、晩御飯戦争。
「アクセルは何がいいんだよ!」
「オレかー? オレは爆速ピッツァだな!」
「爆速ってなんじゃ!」
「じゃ、じゃあ僕は冷やし中華で……」
「「却下!」」
「なんでだよ〜……」
「それ以上騒ぐと、追い出すぞ」
「やめろよ!折角の食事会だろうが!」
「お前たちが台無しにしてるんだろうが」
「喧嘩はやめろ、じゃあ俺はタコ焼きな」
「ちゃっかり希望言ってんじゃねぇ!」
「ラーメン美味しいアルよー!」
「「ハンバーグーッ!!」」
「またシカトアルか……」
「お待ちどう〜っ!」
うるさい討論を潜り抜け、アクセルがお盆を運んでくる。
「……は?」
「お前らの要望に答えたんだぜ!」
「なんでピザの上に冷やし中華が乗ってんじゃコラァ……」
「いいじゃねーか!ボリュームタップリで!」
「お前が作ったんだろ!」
「……サンマの開きが乗ったピザは初めて見るぞ」
「ラ、ラーメンがピザに……ってこれベビースターじゃないかアルッ!」
「サンマの隣にハンバーグ置くな!臭くなるだろ!」
「別にいいじゃねーかよ!オレが必死で考えた料理だぜ!」
「考えたって言うかただ組み合わせただけって言うか……」
「お、タコ焼きまで乗ってる」
「オーランジ、タコ焼きワレェによこせ!」
「ふざけるな、ハンバーグあるだろ!」
「ルシファと一緒じゃとすぐに無くなるんじゃ!」
「つべこべ言わずに食え!!」
こうして、『チャンピオン・ゴールデン・ピッツァ』は見事完食された。
後日、謎の腹痛でルシファとテンライとキケン以外の隊員が欠席する事など、その時は知る由も無かった。
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