あの先輩、頭おかしいよな。
ヤクだろ、あれ。
それしか考えられねぇよな。
俺の周りには、敵しかいない。
さして仲間も欲しいとも思わない。
今更仲間など、取るに足らない。
「今日から、インフェルノの一員になるルシファ君だ。仲良くやってくれ」
突然の訪問者はバケモノだった。
周りから毛嫌いされ、
近寄ってももらえず
理由も分からないまま孤独になった男。
まるで、俺のようだ。
比較したくも無いが。
「なぁ、キケンさん。分からねぇ所があるんだけど……」
バケモノの勘か。
類は友を呼ぶとでも言うのか。
しかし、コイツが俺に話しかけてきたというのは、紛れもない事実だ。
「お前は……」
それだけ言って口をつぐんだ。
いつもなら何も考えずに言っていたところだったのに。
仲間を欲しがっているのか?
俺が。
「ルシファ、次はこの湯に浸かれ」
「なんでぇこれ、ぬるいじゃねぇか」
「これより二秒毎に温度を5℃づつ上げていく。耐えろよ」
「耐えるかよ! 一分も浸かれば茹でルシファじゃねぇか!」
「まぁそれはそれでいいと思うんだが」
「他人事だと思って! 大体もう訓練でも何でもねぇじゃねぇか!」
おかしな奴が数人いれば、必然的にまともなやつはおかしな奴という事になる。
面白い。ならばなってやろうではないか。
頭のおかしな奴とやらに。
その内、俺の考えが認められる日が来る筈だ。
その時は、おかしな奴となった”まともな奴”を散々罵倒してやろう。
これが俺のやり方だ。
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